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【開催報告】一般社団法人 社会デザイン・ビジネスラボ
設立記念 オープニングイベント

2022年9月2日、一般社団法人 社会デザイン・ビジネスラボ(略称:SDBL)設立記念のオープニングイベントを、当社団法人理事で、Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長の谷本有香の司会進行にて開催いたしました。

代表理事 中村 陽一よりご挨拶

私はソーシャルビジネスの分野では、NPO・NGOから始まり、財団、民間を経て、大学の教員も務めてきました。社会課題や社会との向き合い方の姿勢は、近年、変化してきてはいますが、民間企業にとってはまだまだ、社会貢献やCSRという位置付けにとどまりがちです。私は社会デザインの発想や方法論を、できればビジネスシーンのど真ん中に持ち込み、ビジネスを本来の在り方に戻していきたいとの想いがあります。そしてこの想いにたくさんの方々からご賛同いただき、今回、SDBLを設立しました。
つながりや関係性、ネットワーキングやクロスセクター、クロスジェネレーションなど、社会デザインの眼で色々なことを見つめ直していきたいと思っています。

社会デザインのイメージ

社会を良くすることはもちろん大事ですが、それにとどまらず、構造的・論理的なイノベーションを産みたいというのが、私を含めて今回、SDBLに集った方々の共通の願いです。
社会デザインの特質は、領域横断性・越境性・学際性・創発性であると思います。色々なデザインの下位領域ではなく、総合的な活動を、SDBLで進めていきたいと思っています。

社会デザインの未来に向けて

今、日本には社会課題がたくさんあります。一言でいうと、チャレンジしにくい社会になっていると言えるでしょう。その具体的な表れとして、子育てのしにくさや、高齢者が感じる地域の中の生きづらさなどの構造が生じています。これらを解決する一つの“よすが”に、社会デザインが位置付けられればと思っています。

社会デザインの未来に向けて、以下のキーワードを元に考えながら進めていきます。
●社会(ソーシャル)デザイン/コミュニティデザイン
●ネットワーキング/NPO/NGO
●ソーシャルビジネス/コミュニテビジネス/小商い
●連携経済/社会的企業/社会起業家
●ソーシャル・キャピタル
●協働/コラボレーション
●レジリエンス/リスク社会

HIRAKU IKEBUKURO 01&02 について

現在、上池袋にあるマテックス株式会社様所有の2つのビルをリノベーションし、SDBLと連携をして、「01&02」という施設を開設しようとしています。「01」は私の蔵書、「02」はロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが展開している、大人の小学校、大人の秘密基地という施設です。
「01」と「02」が協働しながら、SDBLもさまざまな協働を進めていく予定です。

「01」では以下の取り組みを計画しています。

そして、以下のようなチャレンジを考えています。

SDBLについて

〜SDBL 三尾事務局長 〜

2022年6月にSDBLを設立いたしました。
私は、SDBLを一般社団法人にする以前からこのコミュニティを運営し、中村代表理事とこれまで2年間活動をしてきました。
その中で、社会的に意義ある活動をされている多くの方々と知り合い、これから一緒に活動を進めていくために、一般社団法人を立ち上げた次第です。

設立の狙いは大きく分けて下記の3つです。

それに繋げて、大きく3つの事業を進めていきます。

現在取り組んでいるプログラムの一例を紹介します。
●Z世代×企業×地域の社会課題解決プログラム
上智大学の学生起業家の企画を応援し、一緒にイベントを開催予定
●ユニバーサル・クラウドソーシング・サービス事業
就労困難者を支援する枠組み作り
●休眠預金活用事業
資金分配団体としてソーシャルベンチャーの支援する枠組みを検討中
●ソーシャルデザイン集中講座 2022
日経ビジネススクール様と組んで講座を開催
●ソーシャルデザインライブラリ
中村代表理事のHIRAKU01企画

私たちは、過去にも色々なワークショップを開催してきました。今後もイベントを開催し、皆さんと一緒にコラボレーションできるような企画を推進していきたいと思います。
私たちだけでは、このような活動はなかなかできません。パートナー(法人会員)と組織サポーターという位置付けで、さまざまな企業様から私たちの活動を応援していただいています。
何かあれば一度お問合せいただき、企業様や団体様とご一緒に、新しい価値を生み出せればと思っています。

SDBL 協働パートナーから活動のご紹介

SDBLと活動を共にした3つの団体から、活動内容をご紹介いただきました。

1.木村 智行氏(株式会社日本総合研究所 創発戦略センター マネージャー)

「SDBLとの協働」

私とSDBLとの出会いは、私が三井住友フィナンシャルグループにいた頃、SDBLのサウンディングを受けたことに始まります。
当時はイノベーション部隊にいたため、サスティナビリティの関連部署に紹介したところ、三井住友フィナンシャルグループはSDBLのサポーター企業となりました。
その後、私はサスティナビリティ関連部署に異動になり、GREEN×GLOBE Partners(GGP)立ち上げを担当、SDBLと協働し、昨年(2021年)はワークショップを3回共催しました。

私からSDBLの特長をあげると、以下の4つです。
1. コミュニティメンバーの熱量の高さ
2. 三尾事務局長をはじめとした事務局の行動力
3. 安定のワークショップとファシリテーション
4. 中村代表理事の知見と包容力

SDBLには熱意を持った方が非常に多く、ワークショップで出てくるアイディアやその後の活動も活発です。
また、ワークショップ、ファシリテーション共に成熟しているので、安心してご一緒しています。中村代表理事の知見と包容力により、どんなことでも受け止めていただける、とても面白い団体だと感じています。

今後、私が一緒にやってみたいと思っていることは、「Web3.0(ブロックチェーン)を活用した社会的価値の可視化と還流」です。まだまだ粗いアイディアですが、考えていくところからご一緒できたらと思っています。

2.西 秀記氏(青森商工会議所 副会頭)

「青森商工会議所とSDBLとつながりについて」

青森商工会議所は、「良い町を作り良い人を育て良い仕事を提供すれば、そこには人が集まり、町が発展する」という考え方に基づいてさまざまな活動をしています。
その中の一つとして、「人財育成 雪花雪中塾」を昨年(2021年)から行っていて、中村代表理事には塾頭として、SDBLのアドバイザーに就任した山崎宇充さんには講師(コーディネーター)としてお力添えをいただいています。
立教大学とSDBLとの関わりは、たまたま私が中村代表理事とお会いする機会があったことがきっかけで始まりました。
青森の町の課題をご相談したところ、「1回行ってみましょう」ということになり、中村代表理事にお越しいただきました。
その時に町づくりの講演会などを開催し、その後、立教大学と地元青森が連携協定を結び、以下のようなフィールドワークやワークショップを重ねてきました。

これから、全国共通、地方特有、地域特有の社会課題と向き合っていくことと思います。その際には、さまざまなステークホルダーや新たなチャレンジャーと対話し、SDBLの知見で、青森を「地方の課題解決を試すフィールド」にしていただきたいと思っています。

3.石井 綾氏(一般社団法人 ソーシャルビジネス・ネットワーク)

「社会課題解決と事業創造キックオフ」

一般社団法人 ソーシャルビジネス・ネットワークは、2010年に設立されました。
設立後すぐに東日本大震災が起こったので、東北の復興が一番の社会的課題だと捉え、東北の復興に10年間以上経った今も取り組んでいます。
SDBLとは、「ユニバーサル・クラウドソーシング・サービス」を展開する事業で連携しています。
就労困難な方から「在宅ワークをしたいけれど、クラウド上で自分で仕事を獲得するのは難しい。誰かのサポートがある形で在宅ワークをしたい」という声が多くあります。しかし、日本ではその声に応えるようなサービスがあまりありませんでした。
その中で、私どもの会員で株式会社キャリア・マム様が、チーム型でのテレワークを推進しており、それなら、そのビジネスモデルを全国展開しようということになりました。
SDBLの三尾事務局長には、ビジネスモデル構築にあたって色々なアドバイスをいただきました。また、たくさんの企業とのお付き合いがあるので、お仕事の紹介もいただきました。
今後は下記のような連携を行う予定です。

スペシャルメッセージ

ロンドンブーツ1号2号の田村淳様からビデオメッセージを、そして、ご来場いただいていた、マテックス株式会社 代表取締役社長 松本 浩志様からコメントをいただきました。

ロンドンブーツ1号2号 田村 淳様

設立おめでとうございます。今回、中村代表理事と協働している「HIRAKU IKEBUKURO 01&02」の「02」で、僕のオンラインサロン「大人の小学校」の社会課題に興味があるメンバーと、秘密基地の施設を展開しています。
この秘密基地があることで、色々な方が来てくださっています。
例えば内閣府の方から「今、こういう問題があるので、一緒に何かできないか」という話をいただき、実際に進行しています。
このような話をもっと大きい枠で、中村代表理事をはじめとした皆さんと、一緒に取り組んでいけたらと思っています。
池袋だけではなく日本を取り巻く社会問題をビジネス化して、よりたくさんの人を救えるようなプロジェクトにすることには、僕も大変興味があります。
皆さんと協力・協業できることがあれば、ぜひお声がけをお願いします。

マテックス株式会社 代表取締役社長 松本 浩志様

この度はおめでとうございます。私どもの会社は上池袋で事業を営んでいる、窓を扱っている商社です。
窓は語り尽くせない魅力をたくさん持っている、社会性の高いものです。
これを丁寧に社会に届けることをテーマに活動しています。
先ほどの説明にもありましたが、「HIRAKU IKEBUKURO 01&02」の「01」は、ライブラリーがコンセプトです。
現在プランニングをしていてこれから着工するので、2023年春ごろオープンする予定です。
そして「02」は、田村淳さんを中心に展開している「gather」(集うという意味)になります。
そこに人が集まって、楽しいビジネスを開発していけたら…という思いでスタートを切っています。
私どもの会社は、「人・もの・金」がひっくり返って「金・もの・人」みたいな、少し硬直した価値観になっているところに挑戦していきたいという思いを持っています。
社内だけではなく外の方と繋がって、良い開発ができればという思いから、このようなコミュニティスペースを開設する運びとなりました。
この「HIRAKU IKEBUKURO 01&02」を皆さんと一緒に育てて、新しいサービスや考えを生み出していければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

パネルディスカッション

後半は、SDBLの理事4名によるパネルディスカッションを行いました。

参加理事

●冨田 昇太郎(ホクセイプロダクツ株式会社)
●原 ゆかり(株式会社SKYAH代表取締役/ガーナNGO法人 MY DREAM. org共同代表)
●福井 崇人(アートディレクター/クリエーティブディレクター)
●安渕 聖司(アクサ・ホールディングス・ジャパン代表取締役社長兼CEO)

左から、福井 崇人 冨田 昇太郎 谷本 有香(司会)

左から、原 ゆかり 安渕 聖司(オンライン参加)

はじめに、自己紹介を兼ねて、一人ずつ自身の取り組みなどについてのスピーチを行い、パネルディスカッションに臨みました。

テーマ1:社会課題解決で、最も大事だと思っていること

司会(谷本)
課題を解決する上で大事なことはたくさんあると思います。
課題発見力、人を巻き込む力、対話力、ITの力、さまざま重要なポイントがありますが、理事のみなさまが一番重要だと思うこと、大事だと思うことはどんなことでしょうか。

冨田:
私たちは富山県高岡市で仕事をしています。地方にいると、遠隔地にはなかなか出ていけないので、行動範囲が限られてしまいます。そうすると、その中の価値観が全てになってしまい、富山県高岡市が、あたかも日本の中心のように思ってしまう人たちがたくさんいます。
そういう状況の中で、私たちが商社として、例えば沖縄とか北海道とかアメリカなど、全く違うところに行き、そこで新たな現地法人を作ります。そうすると自分達の身の回りにも、これだけ違う人たちがいるんだということを実感してもらうことができます。
世の中には多くの多様性に満ちた人たちがいるということを認識してもらうためには、やはり自分達自らが投資をして、新しい組織やビジョンをどんどん作っていかないと、内弁慶な、地方の一組織で終わってしまうところがあると思います。
このパネルディスカッションもそうですが、色々な人と出会うことで、個々の考え方や新たな考え方を受け入れることができます。多様性を理解する行動が大事ではないかと思っています。

原:
私は聞くことが大事だと思っています。
社会課題解決は、社会課題を理解することからスタートすべきだと思うのですが、立教大学でソーシャルビジネスを教えている場面や、弊社として日本企業のアフリカ進出をお手伝いする場面などで、「社会課題の理解にもう少し時間をかけるべきなのに、おざなりにして解決策に走っている」と感じることがあります。
解決策に固執してしまうと、それがローンチした時に「あれ…これどうやって社会課題に繋がるんだっけ?」と悩んでしまうケースが起こりかねません。
自分が取り組もうとする社会課題を理解するためには、まず、その当事者や周りのステークホルダーなどの話を聞くことが肝要だと思っています。

福井:
私はアートディレクター、クリエーティブディレクターという観点と、仕事でこれまでに100社以上の企業とお付き合いしてきた中で、最近「面白い」ということがポイントかなと感じています。
面白くてユーモアのあるアイディアは、国境を超えて広がり、それが社会課題に繋がる傾向があります。その破壊力や浸透力は強いのですが、日本の組織はこういう部分が苦手だと思います。
その理由は、クリエイティブやアイディアに対しての評価が低めであるのと、会社組織において「面白い」では稟議が通らずに、正論で進める傾向があるからです。
上長に言いにくかったり、安心安全な場になっていなかったりする組織では、あれもこれも詰めてしまい、結局何がしたいのかわからなくなってしまう、つまりパーパスがわからなくなってしまうんです。
でもアウトプットした時には、面白いことがジャンプして、びっくりするくらいの効果がでます。ですから、面白いことの評価の優先順位を、どんどんあげないといけないと感じています。

安渕:
私自身企業にずっといますが、企業人がいかに外の世界に向かって開かれていくか、というのが本当に大切だと思っています。それは社会のためでもあり、本人のためでもあります。
自分は社会やコミュニティの一部で、家庭の私、会社の私、町内会の私というように、それぞれに対してアクセスをしてそれぞれ違った自分を持つことで、すごくフラットになります。
あるところでは偉くて、あるところでは一番新人みたいなことも起こるわけです。それにより、色々なことを聞いた時、「あ、そんなこともあるんだな」と思える企業人が増えてくるといいなと思います。
企業の常識でガチガチに固まってしまうと、どうしてもその鎧を着たままになってしまいます。しかし会社人生はどこかで終わります。その瞬間にすごく困ってしまうことが現実に起きています。
そこの開かれ度合い、明るくて、いろんなこと軽くて頼みやすかったりする、そういう頼みやすい人になっていくということを、ソーシャルなことを通じてぜひやってみたいと思っています。

テーマ2:次に必要だと思うこと、気を付けた方がいいこと

司会(谷本)
みなさまありがとうございます。
では、次に必要だと思うことや、例えば、繋がっていく時に気を付けるべきことがありましたらお聞かせください。

冨田:
先ほど内弁慶と言いましたが、同じ組織や同じコミュニティなど、そこだけで終わってしまっている可能性があるので、そこを超えていくことが大事だと思います。
SDBLがやりたいと言っていた新しい取り組み、例えば、Z世代との交流など、世代間を超えた取り組みや交流はやっていかなければなりません。先ほど中村代表理事が言っていたように、アンダー30から学ぶことは非常に大事だと思っています。

原:
人の話を聞く時に、聞く側にバイアスがあると、情報が曇ってしまいます。
例えばZ世代の人と話す時も、Z世代はこうだろうと思うのではなく、Z世代の一人の学生、一人の人間とフラットに話をする。
そこのバイアスをもたずに、とにかくその人を知ろう、その人の取り組んでいることを知ろうという姿勢で臨むことが必要で、フラットに真っ新に、互いに向き合うことが大事だと思っています。

福井:
また企業的な視点からですが、最近の傾向として、例えばある会社の役員の方の発言で炎上したりなど、社員一人一人がメディアのような役割になっているような感じがします。
TVコマーシャルは、好感度を上げるために流れるけれど、役員の発言とか何か会社のマイナスなところが出ると、裏表があることを世の中の人がわかってしまうんです。10年前はそんなことはなかったのですが。
そういう世の中で何が大事かというと、広報だと思います。広報と経営が合致することです。経営者の側に広報がいて、広報が宣伝も管轄するフェーズに入ったと感じます。つまり、広報力がとても必要だと思うのです。

安渕:
ソーシャルビジネスなど、ソーシャルなことをやろうとすると、何かの活動をして、アウトプットがあって、さらにアウトカムがあって、社会が変わってくるというように、どうしても大きなことを考えすぎてしまうケースがあります。
私の好きな、認定NPO法人テラ・ルネッサンスの鬼丸昌也理事の言葉に「一人一人は微力ではあるが無力ではない」というのがあります。一人一人の小さなステップを大切にして積み重ねていくような活動、大きい小さいで比べない、そういうことを大事にしていきたいです。
はじめは一人でも、それが二人になったらムーブメント、三人以上いれば立派な活動になります。そういう視点を失わずにやっていきたいと思っています。

テーマ3:社会課題に対してどうやって取り組めばよいか

司会者(谷本)
社会彫刻家といわれているヨーゼフ・ボイスさんが、「あらゆる人間が自分の創造性を持って、この社会の幸福に寄与することができる。誰もが未来に向けて社会を彫刻することができる」という言葉を残しています。
このように考えると、一人一人が社会彫刻家として少しでも何か物事を起こしたら、きっとベタープレスになって、その集積は大きな社会変化になります。ですから、大きなことをやろうとするのではなく、小さい一歩として、自分が思う小さな社会課題を見つけて、少しでも行動できたらいいと思います。
そこで最後に、これから社会彫刻家になろうと思っている人たちに対して、どういう形で社会課題に向き合ったらいいのか、もしくは社会課題に対してどう取り組んだらいいのかを、まさに社会彫刻家である4名のみなさまより、アドバイスをお願いします。

冨田:
同じような話になりますが、京都でよく行くお寺に「一隅を照らす」という言葉が書いてあります。まさに「一隅を照らす」人に、一人一人がなっていくことが大事なのではないかと、個人的には感じております。

原:
皆さんと共通のメッセージになるかもしれませんが、私もハフポスト創業者のアリアナ・ハフィントンさんからいただいた「マイクロステップ」という言葉を大事にしています。
日本には、自分ができていないことを責めがちな人が、なぜか多いなという印象を持っています。やりたいことがあるのにできていないと、自分を責めるような姿に向き合うことが結構多いのですが、お話を聞くと、皆さん日々何かに取り組まれていたりします。
自分の「マイクロステップ」にもう少し光を照らして、自分を褒めてあげながら、マイクロステップを積み重ねていくことができたら、それこそ社会彫刻家として、それぞれが良い世の中を築いていけるのではないかと思います。

福井:
企業的なところでの話ですが、マーケティングはスケールとかメリットを追求する数字ですよね。でも、ソーシャルとか僕らが思っているのは、広報とか適正サイズだと思うんです。適正サイズの追求というのが本当に大事かなと思っています。

安渕:
社会彫刻家を目指される方がいるとしたら、最初は知ること、Knowingから入っていくと思います。Knowingから入って、実際にやっていくDoingというフェーズがくる。そして最後に、外に向かっていくだけではなく、自分自身の在り方Being、どんなふうな自分になりたいのかというところを突き詰めて考えていくと、すごくいいことができると思います。

理事・監事よりご挨拶

常務理事の町野弘明、理事の梅本龍夫、監事の杉井俊文よりコメントをいただきました。

常務理事 町野 弘明(一般社団法人 ソーシャルビジネス・ネットワーク 代表理事/株式会社 ソシオ エンジン・アソシエイツ 代表取締役社長)

私が代表理事を務める「一般社団法人 ソーシャルビジネス・ネットワーク」では、この10年東北の震災復興を行ってきました。その集大成として1年半ほど前に完成したのが、「陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー)」という商業施設です。
震災から10年が経過し、もう復興と言われたくないという地元の声があがっています。そこで、ポスト復興として味噌や醤油作りなどの醸造産業に注目し、発酵をテーマにした施設を作ろうということになりました。食品はもちろんのこと、みんなが呼応しあい、気持ちも発酵して出来上がった、奇跡のプロジェクトです。
SDBLのプラットホームも、地域で頑張っている方や大企業の方、クリエイターの方など色々な方が集まって出来上がっていることを、皆さん実感していると思います。近年、ソーシャルなプラットホームは増えていますが、これだけ多士済済な方々のプラットホームは珍しいと思います。ぜひ、今後皆さんとご一緒に、いい発酵を起こしていけたらと思います。

理事 梅本 龍夫(有限会社アイグラム代表取締役/物語ナビゲーター)

ここで私が挨拶をするのは不思議な気がします。なぜかというと、私は今まで企業人、ビジネスパーソンを長くやってきて、ソーシャルな活動をするという視点が圧倒的に欠落していました。ビジネスとは何かを達成してたくさんの利益やお金が入ってくるという、割と単純な発想で考えていました。
その結果、バーンアウトしてしまい、10年くらい模索するステージが続いていましたが、その間に色々な人が気にかけてくれて、その中で中村代表理事との出会いがありました。立教大学大学院の21世紀社会デザイン研究科客員教授として働かないかとお誘いいただいて、今の私がいます。
私は長年ビジネスをやってきたことを活かし、経営戦略はソーシャルなビジネスの現場でも必要だということや、社会の中でリーダーシップは強調されるが、本当に何かをやるにはフォロワーシップも大事だということなどを授業で話してきました。
今、静岡県で就職氷河期世代の人たちの支援事業を行っていますが、小さな活動でもさざ波のように広がっていくことを実感しています。理論を実践に展開することは十分に可能であることを身を持って体験できる、楽しい時間をいただいています。

監事 杉井 俊文(ソーシャルグッド会計事務所 代表/税理士)

私も中村代表理事の門下です。
税理士をはじめてから長年、事業承継というテーマで仕事をしてきました。色々な解決策を考えますが、その多くはあまりソーシャルでないことが多く、どうしたらよいかと思った背景から、ソーシャルの分野に入りました。税理士の中では変わり種で、ソーシャルな税理士と言っています。
今、ソーシャルな会計とは何かを考えています。今日の話でも、社会問題は数値化が難しいという話題が何度か出てきていますが、そういう数値化できないものと会計を、どう組み合わせるのかが今後のテーマだと思っています。
税理士は税金を主に扱うのですが、税金を収めるのは一つのソーシャルな行為ですし、会社の経営と大きく関わる投資も重要な観点です。さらに、主に非営利団体への寄付も大きなテーマになっていくと思いますので、「納税・投資・寄付」という3つのテーマで税理士をしています。今後ともよろしくお願いいたします。

イベント終了のご挨拶

最後に、理事の増田 裕一よりお礼のご挨拶を行い、閉会となりました。

理事 増田 裕一(株式会社JSOL常務執行役員)

本日は色々な方にたくさんのお話をしていただきましたが、本質的なところは繋がっていると思います。
社会課題の解決は言い換えると、未来をいかに作っていくか、ということになります。Well Beingという言葉がありますが、これまでの社会の在り方だけでは、会社や組織や個人が幸せになれない、価値観の変化があると思います。いかに社会をより良くしていくかということが、非常に重要です。
SDBLには、非常に多くのバックボーンを持っている方がいます。これほど幅の広い関係者がいる組織はあまりないと思います。社会を変えていく時には、多面的、多様性、それから色々な立場にたって物が見られることが、非常に重要です。
今日はまだスタートですが、これから皆様と一緒に幅を広げながら、社会に貢献できる活動ができるようにしていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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