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【開催報告】第1回Webセミナーアフター
コロナの社会デザイン・ビジネス
2019年末に初めて確認された新型コロナウイルスは終息の兆しも見えず、現在の状況が長期化することが考えられます。
新型コロナウイルス禍およびアフターコロナの状況においてどのように社会デザイン・ビジネスに関わっていくべきか、そして社会デザイン・ビジネスラボをどのように進めていくか。
講演とリアルタイムでの質疑応答を交え、社会デザイン・ビジネスラボ初めてのWebセミナーを開催しました。
日時:2020年5月21日(木)14:00~16:00
参加者数:137名(97社)
【講演】アフターコロナの社会デザイン・ビジネス(SDB)~幸せ(well-being)のための参加と協力を考える~
最初に社会デザイン・ビジネスラボ 会長の中村 陽一が、 「アフターコロナの社会デザイン・ビジネス(SDB) ~幸せ(well-being)のための参加と協力を考える~」と題し、講演しました。
講演では、「社会デザイン」や「社会」の定義・考え方を明示すると共に、新型コロナウイルスによる社会・生活の変化と、ウィズコロナ・アフターコロナの世界で我々がどのように社会課題の解決を図っていくべきか、 社会デザイン・ビジネスラボではどのような議論を進めていくべきかをお話しいただきました。
講演の内容を一部抜粋し、ウィズコロナ・アフターコロナの世界で社会デザイン・ビジネスラボが持つ役割やどのように議論を進めていくべきかをご紹介します。
社会の根底的変化とSDBへ向けての鍵 - SDBLで対話し、協議し、形にしていきたいこと
中村:アフターコロナ(ウィズコロナ)では、デジタル分散主義的な方向性のもとで、 既に技術的・社会的にはリソースや潜在的な実現可能性があるにもかかわらず、旧来のビジネスモデル流の独占・寡占・占有といった、 産業主義的な古い枠組みに取り込まれてしまっていたデジタルテクノロジーを、新たな構成(組合せ)とフレームのもとで再構築する必要があります。
社会デザイン・ビジネスラボでは、ここに示すものを仮説として皆様と対話、協議し、形にしていきたいと考えています。
1.サスティナブルで循環可能なビジネス
2.越境型で協働できるプラットフォーム形成
3.投資手法の多様化
4.協働型生産方式(モノ・サービス・情報・価値等)によるビジネス
5.レガシーという発想の導入(次世代に何を残すか)
6.(あらためて)開放的なネットワーク型コミュニケーション
7.土地・資源に関するパブリック・コモンズの考え方
8.コミュニティで「共有する価値」&コミュニティ間およびソーシャルな「価値の交換」の重視
9.ビジネスの多層・多次元な対象規模と領域
いよいよ始まる「ライフ&ワークミックス」へ向けて
新型コロナウイルスの影響によって<プライベート><オフィシャル><パブリック>な諸領域が在宅の時空間のなかで混在するようになり、 個人にも、社会にも劇的な変化が起こりました。
徐々に日常が戻ってくれば、これまでと一見変わらない社会が現れてくる可能性は大きいでしょう。 今日明日に社会が180度転覆するようなことはよほどのことがない限りはありません。
しかし、一見同じようでもビフォーコロナの社会とは違います。私たちはコロナ禍のもとで、自在に目的を変移する時間とそこでの過ごし方を体験してしまったのです。
これからは、「労働」「仕事」「生活」「余暇」といった従来の区分を相互乗り入れさせていき、 さらには1stプレイス、2ndプレイス、3rdプレイスといった区分も相互乗り入れさせることも考えながら、 一方でいずれか一つしか持たない人の可視化も踏まえて考えていく必要があります。
そこに現れる社会と個々人の意識のパラダイムの潜在的変容を、求められるビジネスとその成果の変容に結び付けるという 整理、分析、対話的なプラン形成、デジタル分散主義的な場やチームビルディングなどにつなげていくアクションを 社会デザイン・ビジネスラボのミッションの柱として進めていければと思っています。
【講演】質疑応答
続いて、講演内容に関する質疑応答を行いました。
ここでは、セミナーの時間内に回答しきれなかった質問に回答させていただきます。
Q1:現状を改善するために、国家間の対立を解消し、新興国への支援を拡大しなければならない。 そのためにはビジネス社会の都市集中を緩和し、情報や物流ネットワークの最大限な活用を進めることが求められると考えます。 今後の社会デザインの在り方について、先生のお考えをお教えください。
中村:COVID-19 禍により、これまで言われてきたグローバリズムではなく、各国単位での対応が否応なくなされるようになりました。 つまり国単位で「閉じた」わけです。この流れが今後どうなっていくのか、情報はともかく、物流に関しても課題が大きく出ています。 さりとて閉じ続けていくことは現実的ではなく、やはり、旧来の枠組を超え出る発想と社会実験の方向に行かざるを得なくなるのではないでしょうか。
Q2:社会デザイン・ビジネスラボで検討すべき9つの課題の中に「レガシーの導入」がありましたが、未来に何を残すかという視点の他に、 過去の古臭く感じられることを新たに変えていくという方法も有効的でしょうか?
中村:社会的現実は、たえず過去(の古臭いもの)・現在・未来のせめぎ合いのなかにあると思います。 レガシーというとき、おそらくこのせめぎ合いのなかから何を生みだし、何を次代につなげていくかということが大切なのだと考えます。
Q3:得意分野を生かすという事は、うまくいくと素晴らしい成果がでるような気がしますが、プロダクトアウトなデザインになる危険性もあると思います。 人間社会である以上、ヒト(課題解決の対象となるヒト)と向き合い続けなければいけないと思います。 (マーケットインに近い考えの)課題に向き合う時にどのような事に注意しなければならないと考えていらっしゃるでしょうか?
中村:おっしゃる通り、課題に向き合うときに得意分野からの発想でのみ考えてしまうと、結局既存のフレームに引き寄せられがちになりますね。 かつヒトと向き合うというときにも、変化の側面の把握・分析・理解の仕方そのものを再編成(あるいは「脱構築」)していかないなら、結局、元とさして変わらない結論しか出てこないだろうと思います。 今回もお話しした越境・創発が鍵になっていくと思います。
Q4:今回コロナにより、well-beingにも大きく関わる、エンターテインメントや文化が、 現地・現物という形態での提供スタイルということもあり、大きな被害を受けているように思います。 今後こうしたものも、例えば双方向で、臨場感のある体験がVRなどで実現出来れば少しでも解決に繋がるように思いますが、 今回のコロナを受けて、改めて必要なテクノロジーなど、どのように感じられましたでしょうか? 個人の位置情報のデータ化などはあるでしょうが、制度的な問題も多いので、新たな技術の必要性という観点で何か感じられたものがありましたら、お話いただけると幸いです。
中村:私自身、先日VRの進化を目の当たりにする機会があり、可能性の拡大を実感しました。 その一方で、例えば舞台芸術のように現場で「身体性」に直面することが決定的な意味を持つ分野があり、そこでの一種の「曖昧さ」「揺らぎ」といった要素はデジタルな情報化にはまだまだ壁があります。 無駄、バグ、非言語領域に向き合う技術とかDXのありようは、人工知能科学の専門家などと協働してぜひ追究してみたい領域です。
【SDBL推進方針】ソーシャルな仲間とともに、社会課題解決を目指したい!
社会デザイン・ビジネスラボ事務局長の三尾より、社会デザイン・ビジネスラボの概要説明と今後の進め方など説明しました。
三尾:2019年12月12日、立教大学社会デザイン研究所と株式会社JSOLにて、社会課題解決と新規ビジネスを創出する研究会「社会デザイン・ビジネスラボ」を立ち上げました。
本研究会では、社会に貢献したい、ICTを中心にしたテクノロジーや法人・個人の強みによって持続可能な社会にしたいという想いや考えを持つメンバーを募ります。 その専門性に基づいて知恵を出し合い、産官学の知見や技術を融合することで、社会課題の解決と新たなビジネス機会をともに生み出すことを目指しています。
活動概要
新型コロナウイルスの影響もあり、当初2月から研究会を開始する予定でしたが、7月から今年度は3テーマで研究会を進めていく予定です。
テーマごとに参加者を募集し、1テーマ2回で完結のワークショップを行います。ワークショップではJSOL独自のアイデア創出フレームワーク『いのべ場』を活用して進めていきます。
DAY1では、ゲストによる講演やアイデア出しを行い、DAY2では、ビジネスモデルの検討を行います。
参加費は無償となっており、基本的には公開の場とさせていただくため、機密情報は持ち込まない等のルールを設けさせていただいています。
現在、15の企業・団体様にサポーター企業として参画いただいています。(2020/5/21時点)
社会デザイン・ビジネスラボの取り組みに共感いただき、応援いただける企業・団体様にはぜひともサポーター企業として参画いただき、自社の知見やリソース等のご協力をいただければ幸いです。
今後の活動
6月には2回目のWebセミナーを行い、7月からは『食』のテーマを皮切りに研究会を行っていきます。
皆様と一緒に社会課題解決のためのビジネスを創出していければと考えておりますので、ぜひご参加ください。
また、社会デザイン・ビジネスラボの第1号プロジェクトとしてバリアフリーのICTサービス「袖縁」との協働プロジェクトが開始されました。
これは、「困っている人と助けたい人をマッチングする事業」として今年度検証予定です。 こうした社会実験を踏まえ、社会貢献するだけではなく、マネタイズできるビジネスモデルを構築し事業を具現化していきます。
その他にも、アイデアを共有・ストック・検索できるクラウド基盤「ひらめきボード」やSDBLジュニア/SDBL分科会等も現在企画中です。
社会デザイン・ビジネスラボのFacebookページもオープンしました。最新情報等を公開していきますので、ぜひご覧ください。