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【開催報告】第2回:社会デザイン・ビジネスラボWebセミナー
持続可能な経営と社会デザイン ~SDGsとソーシャルインパクト~
ウィズコロナ、アフターコロナの世界ではますます持続可能な経営の在り方が問われています。
企業では、2030年頃を想定して今後どのような形で持続可能な経営を実現し、未来に向けた社会デザインを描いていくかがポイントとなります。
持続可能な経営を考えるきっかけづくりのために、SDGsやソーシャルインパクトを盛り込んだ講演と、 リアルタイムでの質疑応答を中心としたパネルディスカッションを交えたWebセミナーを開催しました。
日時:2020年6月19日(金)13:00~15:00
参加者数:67名(51社)
【講演】持続可能な社会の実現に向けた企業の役割 ~世界共通言語のSDGsから考える~
最初にプレゼンターに「持続可能な社会の実現に向けた企業の役割~世界共通言語のSDGsから考える~」と題してご講演いただきました。
講演では、Society5.0におけるSDGsの達成に向けた経団連の活動と企業が持続可能な社会の実現を牽引する役割を担っていくためのSDGsに取り組む意義をお話いただきました。
【講演】企業が「ソーシャル資本」を増やす意味
続いて、プレゼンターに「企業が「ソーシャル資本」を増やす意味」と題してご講演いただきました。
講演では、これからの企業において社会や人との関係から生まれるソーシャル資本の重要性と価値創造プロセスにおけるアウトカムの考え方。 そして多様な価値観が生まれる中で、バランスシートでは測れない企業価値を上げていくために、企業がどうソーシャルな活動に関わっていくべきかをお話いただきました。
パネルディスカッション
セミナーの後半では、講演者と共に、社会デザイン・ビジネスラボ会長である立教大学社会デザイン研究所 所長の中村 陽一と事務局長の三尾 幸司も加わり「パネルディスカッション」を実施しました。
講演中にチャットから寄せていただいた質問を中心に、人材育成や経営層を巻き込む企業の取組みについて等、それぞれの視点で語っていただきました。
ソーシャルインパクトはどのように測定できるのか
プレゼンター:現時点では企業レベルではソーシャルインパクトは定量化できないため、ストーリーとして示していくことが重要である。 何のために行うか、目的をハッキリさせたうえで企業活動を行っている企業はサステナブルである。
一方で、プロジェクトレベルではソーシャルインパクトの計測はある程度可能であるため、ストーリー・世界観を持ってマネジメントを説得していく事が大事になってくる。
これからの人材育成
中村:社会デザイン教育のようなものをこれまでは社会人とともにやっていこうとしていた。 これまでの古い枠組みに則られた形にならないようにするためには学部レベルでの社会デザイン教育を体系化していく必要がある。 人材育成でなく人財育成として考えていかないといけない。
プレゼンター:デジタルが人の顔を持っていないようになりがちなので人間の想像力を活用していかないといけない。 技術は中立であり、それをどうやって使うかは人間次第である。
経団連では、企業が行ってきた人材育成と、イノベーションへの活用や効果を今まさに調べようとしている。 企業に勤めている人が地域社会や生活者としての課題を知る機会はなかなかないが、課題と向き合っている人と対話をする事は非常に重要である。 実際それで生まれる事例もある。 今、経団連で進めているが、多様な人材、例えばスタートアップ企業と大企業が対話をしてイノベーション創発するような取り組みも必要である。
プレゼンター:人材育成には、「社内での育成」と「社会の皆様と一緒に行う育成」の2つがあると考えている。
「社内の育成」では、SMFGとしてSDGsや社会課題、環境課題に関して目を向けられる従業員になってもらいたいという思いがあり、そこの教育体系を作っている。 昨年、グローバルの8万人の従業員に対してSDGs、ESG、サステナビリティのアンケート調査を行った。その結果を基に研修体系に盛り込むために設計をしている。 ESG投資家からは、お客様とESGに対してちゃんと話ができる人材を育てていくことが要請されている。 それを当社の強みにしたい。
「社会の皆様と一緒に行う育成」としては、環境社会課題に関心を持っているお客様と我々をつなぐコミュニティを作ろうとしている。 同じ想いを持った仲間を増やしていく取り組みであり、金融機関のネットワークを上手く使っていく。 コミュニティでのSDGsへの取り組み、環境問題への取り組みにより、日本全体の底上げをしていきたい。
社会デザイン・ビジネスラボとのコラボレーションも是非やっていきたいと考えている。
中村:サステナビリティやインクルージョンに関しては教育でカバーできる範囲もあるが、机上だけでは限界があり、 現場で活動する人との対話を通して現場性・当事者性に出会わない限りは実感できない部分がある。 そういう意味では企業で行われているOJTのようにOAT(On-the-Active Traning)が必要になってくる。 是非経営幹部をそういった現場に出してほしい。
従業員満足度との関連性
プレゼンター:企業が会社として良い地域社会との関係をどう定義しているかが大事である。 ソーシャルな活動を行う意図・目的が何かを明確にしないと色々できない。
まずは、従業員が自分たちの地域をどう見ているかを確認すべきである。 そこのエンゲージメントから始めることが大切。そういった取り組みをしていかないといけない。
従業員満足度としては、従業員が会社に対して満足しているかだけでなく、従業員が「会社と社会・地域との関係性」をどう考えているかを把握する必要がある。
プレゼンター:ソーシャルな活動と社員満足はリンクしている。 これまで、効果測定はあまりできていなかったが、SMFGの今年度からの中期経営計画では、社会的インパクトを測定して毎年出していくということをKPIとして置いた。 我々の活動がどのように社会にインパクトを与えているかを示すことが、従業員に対するエンゲージでもあるし、お客様に対するエンゲージでもある。
ニューノーマルになっていく世界に対して
中村:ソーシャルな部分をいかに企業の活動の中でいかに定着させていくか、その戦略、戦術を考えていないといけない。 従来の規模の経済的な発想を超えた考え方を取れるか。量だけでなく深さ。中長期的な深さやインパクトという地域社会に与える深さを考えていくようにできると良い。
プレゼンター:コロナの影響で今後どうなるかはわからないが、深刻な状況に陥る人が増えていくのは確実だろう。 その中で何が必要で今後どのような産業が生まれてそれをどう大きくしていくかを考える必要がある。 経団連として、ソーシャルを考えたうえでそれを支援していく取組を行っていく。 具体的には、企業が実践していることの情報をいただいたり現場に足を運んだりして集め、それを横展開していく。
プレゼンター:ソーシャルな部分でエコシステムを作っていかないといけない。 オープンイノベーションの取り組みではシリコンバレーのエコシステムを見習う形でやっていたが、次はソーシャルを軸に関係者が集まり、循環していく形が必要である。 そのためにコミュニティを作り、様々なコミュニティがコラボしてエコシステムを作っていく。それによって徐々にお金がついてくるのではないか。 お金にならないと言われているソーシャルな所に対して、いかにマネジメントを説得してエコシステムを構築するか。皆さんと一緒に進めていきたい。