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1.イントロダクション

2026年2月18日、名古屋・大冷工業株式会社4階「クロスコモンズ」にて、「循環型ビジネスの共創コミュニティ」第6回が開催されました。
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今回のテーマは「サーキュラーエコノミーの現在(いま)を知る」です。
本会では、国内外の最新動向を踏まえながら、サーキュラーエコノミーを「経済システムの再設計」という観点から捉え直す議論が展開されました。
企業、自治体、大学関係者など多様な立場の参加者が集まり、循環型社会への移行について活発な意見交換が行われました。
本イベントは、社会デザイン・ビジネスラボが進める「循環型ビジネスの共創コミュニティ」プロジェクトの一環として企画・実施されました。

本イベントは、社会デザイン・ビジネスラボが進める「循環型ビジネスの共創コミュニティ」プロジェクトの一環として企画・実施されました。

2.登壇者紹介

■ 山下 史哲 氏
(株式会社新東通信 CIRCULAR DESIGN STUDIO. スタジオ長)
広告代理店、メーカー、印刷会社など多様な業界で企業のブランディング・マーケティングに従事。
現在は、スタートアップから大企業までを対象に、サーキュラーエコノミー事業創出のコンサルティングや教育プログラムを企画・実施している。
また、全国の自治体において「サーキュラーシティ」構想の推進にも携わる。

本講演では、日本におけるサーキュラーエコノミーの現在地を構造的に分析し、実装に向けた視座が提示されました。

■ 山本 英治 氏
(Circular E 創業者)
高校時代の米国留学を皮切りに、大学時代には世界各地を旅し、多様な社会・文化・産業構造に触れる。
大学卒業後は株式会社KEYENCEに入社し、製造業の現場で生産性向上・業務効率化に従事。
その後、大量生産・大量廃棄を前提とする社会構造に課題意識を持ち、サーキュラーエコノミー専門会社「Circular E」を創業。
現在はオランダを拠点に、制度・政策・事業実装を横断した循環型ビジネスモデルの設計に取り組む。

本講演では、欧州の制度動向と経済戦略の実像が紹介されました。

3.サーキュラーエコノミーの本質、日本国内の動向

山下氏は、日本におけるサーキュラーエコノミーの構造的課題を提示し、「視点の転換なくして実装は進まない」と語りました。

講演では、山下氏がサーキュラーエコノミーを考えるきっかけとなったTEDトーク
「The surprising thing I learned sailing solo around the world」
も紹介されました。

この動画を通じて、循環を単なる環境活動としてではなく、「システムとして理解すること」の重要性が示されました。

また、日本国内における循環経済政策の流れについても紹介がありました。
1999年の初期の循環経済の概念から、2023年の「成長志向型資源自律経済戦略」までの発展、さらに2024年7月に岸田首相が国家戦略として循環経済を位置づけた背景などが共有されました。

経済産業省と環境省が連携し、
・サーキュラーパートナーズの会員制
・投資促進
・ルール整備
の三つの柱で取り組みが進められていることも紹介されました。

企業の実践事例としては、
・マッドジーンズ(サブスクリプション型ジーンズレンタル)
・フェアフォン(修理しやすい設計のスマートフォン)
などのサーキュラービジネスが紹介されました。

また、日本企業の事例として、ブリヂストンがタイヤにセンシング機能を組み込み、摩耗状況を監視することで新たな収益源を創出している取り組みも共有されました。

後半では、「既存事業をどのようにサーキュラーエコノミーへ転換していくか」という問いが提示され、参加者からもリサイクル業界の課題や事業転換の可能性について議論が行われました。

持続可能な事業の実現には、
・顧客の本質的ニーズの理解
・適切なソリューションとビジネスモデルの構築
が重要であり、社内外の共創ネットワークの形成も不可欠であることが確認されました。

4.欧州での現状と動向と制度インサイト(2026年以降)

オランダ在住の山本氏からは、欧州におけるサーキュラーエコノミーの現状が紹介されました。

特に印象的だったのは、次の言葉です。
「欧州のサーキュラーエコノミーとは、倫理でもない、善意でもない、環境でもない。」

サーキュラーエコノミーは、
・経済システムの再設計
・価値の再定義
・価値を外部へ漏らさない仕組みづくり
であるという視点が示されました。

これはCSR活動の延長ではなく、経営戦略そのものの転換を意味します。
従来の線形経済モデルから、資源・データ・価値を循環させるモデルへの移行が求められています。

また、2026年以降に影響を及ぼす制度動向として、以下の規制が紹介されました。

■ ESPR(エコデザイン規制)
製品設計段階から
・再利用性
・修理可能性
・リサイクル性
・トレーサビリティ
を求める規制であり、企業には「設計思想の転換」が求められます。

■ DPP(デジタルプロダクトパスポート)
製品ごとに原材料情報や修理履歴などをデジタルで管理する仕組みです。
これは単なる情報公開ではなく、価値循環を実現するためのデータ基盤整備と位置づけられています。

講演では、今後の企業戦略として
・規制対応は避けられない
・データ基盤整備が競争力に直結する
・価値を外部へ漏らさない設計思想が重要になる
といったポイントが提示されました。

その第一歩として、
・自社バリューチェーンの可視化
・データ循環の設計
・部門横断の議論
が重要であるとまとめられました。

5.実践事例から見える多様な戦略

事例紹介では、同業種であってもサーキュラーエコノミーへのアプローチが大きく異なることが示されました。
・事業モデル転換型
・サプライチェーン再設計型
・プロダクトサービス化型
など、複数の戦略パターンが存在することが確認されました。

参加者からは、
「近い業態でもアプローチが違うことに驚いた」
「自社でも参画できそうな具体像が見えた」
といった声が寄せられました。

6.参加者アンケートから見える気づき

アンケート結果からは、以下のような気づきが共有されました。

■ 実践イメージの具体化
「実際の取り組みを聞くことで、自社で何ができるのかイメージできた」
抽象概念から具体的なアクションへと理解が深まったことがうかがえます。

■ サーキュラーの幅の再認識
「近い業態でもアプローチが違うことに驚いた」
「サーキュラーエコノミーの幅の広さを再認識した」
固定観念の解体が起きていることが確認されました。

■ 個人生活との接続
「普段なかなか意識できない自宅でのごみの扱いを考えるきっかけになった」
企業活動だけでなく、個人レベルの行動変容への広がりも見られました。

7.結び

今回のイベントでは、日本および欧州におけるサーキュラーエコノミーの現状と動向について理解を深めるとともに、参加者同士の対話を通じて多くの示唆が共有されました。
スピーカーと参加者が共に学び合い、サーキュラーエコノミーへの向き合い方を再認識する場となりました。

本コミュニティでは、参加者同士の対話を通じて共創の種を見つけ、社会実装へとつながる新たなプロジェクトの創出を目指しています。
引き続き、「循環型ビジネスの共創コミュニティ」の活動にぜひご注目ください。

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